醸造所の省エネと節水を実現
インドネシアにおいて、アルコール飲料はやや繊細なテーマですが、世界で最も多くのイスラム教徒を抱えながらも多元主義、政教分離を標榜する同国では、政府は完全禁酒ではなく、アルコール消費量を減らすという政策をとっています。つまり、国内のアルコール飲料製造に関しては厳格な割り当て量が設けられ、流通経路は厳密に管理、監視されています。
このため、インドネシアの酒造業者が頭を悩ますことになるのが、年間の割当生産量を守りつつ売り上げを維持、さらには増益していくにはどうすればよいかという点です。この課題に対し、幅広いビールブランドを取り扱う国内最大級の西ジャワ州の醸造所では、エネルギー効率を向上させる冷却システムの改善を実現しました。エネルギー効率への着目は、国内の各種産業が世界的なエネルギー価格高騰の影響を受けるなかに於いて特に重要なことでした。また、エネルギーの効率化だけでなく、節水も新システム導入の決め手でした。インドネシアでは近年深刻な干ばつに悩まされているからです。なかでもジャワ島は被害が最も大きく、水不足は少なくとも2070年まで続くと予想されています。
醸造所がGüntnerに問い合わせたのは、古い亜鉛メッキ製冷水塔の交換が必要になったためです。冷水塔は、コイルの漏洩とケーシングの劣化が発生していました。Güntnerが提案したのは、冷却システム全体に自然冷媒を使用したECOSS蒸発式コンデンサ2台を導入するというものでした。
ECOSS蒸発式コンデンサは、従来の冷水塔と大きさも価格も変わらないにもかかわらず、水とエネルギーの消費量は従来の半分に抑える画期的なユニットです。エネルギー効率の高いECファンを搭載するだけでなく、インテリジェントセンサーとGMMnextコントローラを使って水量調整やファンのスピード調整など高度な機能を活用できるので、節水や省エネ効率がより一層高まります。
また、ユニットは耐久性にも優れています。ステンレススチールを使用することで耐蝕性とスケール抑止力が高まり、その結果、水が一定条件を満たしていれば化学物質を用いた水処理は従来ほど必要なく、場合によってはまったく不要となります。溶接された水槽は液漏れしないだけでなく、重金属の沈着も防ぎます。さらに、最適な漏斗型の形状のため、必要な冷却水の量は50%削減、また吸込口ルーバーは、漏水や紫外線入射を防ぐ設計となっているため、藻や雑菌、細菌の発生を抑えます。
より簡単に手入れできるよう、ヒンジ式ルーバー、ファンパネル、中央配置の通路で点検しやすくなっているのも特長です。設置は運搬しやすい軽量構造体が2分割されており設置場所で重ね合わせるのみ、組み立てに際しても特殊なネジやシーリングテープなどは不要です。運転はプラグアンドプレイコントロールで簡単に立ち上げ出来ます。
2021年に完了した新冷却システムの導入により冷却能力は劇的に向上、エネルギー消費の大幅削減も実現し、醸造所にとって大きな成果をもたらすものとなりました。
Davidは付け加えて説明します。「メンテナンスのし易さしやすさと耐用期間の長さを考ると、ECOSSは今以上に高い投資利益率(ROI)を長期に見込んで頂けると考えています。」