自然冷媒の活用で未来を切り拓く

世界の平均気温は今世紀末までにおよそ1.5℃から最大7℃まで上昇すると予測され、壊滅的被害の発生も危惧されています。気温上昇に歯止めがかかるか否かは、私たちが今どのような選択をするかにかかっていますが、冷却、そして空調システムにおける冷媒の使い方もその1つです。

Case study cranberries canada content

世界中で広く使用されている化学合成冷媒には温室効果があり、地球温暖化への影響度は「温室効果ガス」として広く知られる炭酸ガス(二酸化炭素)の数千倍にもなります。研究によれば、現在、温室効果ガスの8%近くが化学合成冷媒を排出源としていることが分かっています。また、現在最も普及している合成冷媒であるハイドロフルオロカーボンは劣化すると酸の一種を生成し、これについて環境専門家らは環境や海洋生物、そして人間に有害なものであるとしています。

そこで Güntner は、二酸化炭素やアンモニア、炭化水素や水といった自然冷媒に価値を認め、長きにわたってその活用を推進してきました。密閉式システムから流出する可能性もあるこれら全ての冷媒は、地球温暖化係数が極小またはゼロです。また二酸化炭素においては、毒性がなく不燃性であることから合成冷媒の代替としての人気が高まり、スーパーから大規模冷却施設に至るまで様々な場所で広く利用されるようになっています。

「Güntnerは、業界がより環境に配慮した未来を志向したものとなるよう、一企業としての責任をしっかりと果たしています。2022年に当社が供給したコンデンサ、蒸発器、ガスクーラーのほぼ半数は自然冷媒を使用したものですが、今後はその割合を飛躍的に増やしていきたいと考えています。」
FABIAN GANSER GÜNTNER サスティナビリティおよび気候変動スペシャリスト

カナダのケベック州サン=トゥラリにあるEmblem Cranberry社は、世界最大級の遷臨界CO2冷却システムを所有しています。同社は、クランベリーなどの小粒果実の加工と販売を手掛ける大手企業です。2016年に操業を始めた施設は、3段階の開発を経て2021年11月に完成しました。トンネル式急速フリーザー1台、選果、洗浄、包装を行う製造エリア2か所、クーラー1台、冷蔵ドックエリア2か所を有する施設の収蔵能力は、クランベリーでは2,500万キロ、その他の果実では730万キロになります。

Emblem 冷却システム社のには、hydroBLU付きGüntner Adiabatic Gasクーラーが導入されています。システムプロバイダーであるZero-C社でエンジニアリングおよび製造マネジャーを務めるDavid Bastrash氏は言います。「長期使用を目的としたプロジェクトだったので、Güntnerを選んで正解でした。ステンレススチール製コイル、堅牢なフレームを持つ高品質のガスクーラーを提供いただいています」

北米事業所で営業部長を務めるJascha Heynckが付け加えます。「Güntnerのコントローラーは、このような果実貯蔵ケースに最適なハイドロパットソリューションを実現します。高温下でhydroBLUを使用しCO2冷却システムの性能を強化することで、エネルギーは最大25%カット、水消費量は半分まで減らすことができます。また、V-shape VARIOガ スクーラーは、エネルギー削減、設置面積のスリム化の両方で優れた力を発揮します。」

二酸化炭素を活用した冷却システムは一般的に、化学冷媒を用いたものよりも多くの排熱を再利用でき、貴重な熱源を提供します。Emblem社では、CO2ラックからの生成熱をグリコールクーリングシステムによって建物やオフィススペースの暖房に転換するほか、果実の洗浄水を温めるのにも使用するので、コスト削減と放出量抑制の両方が実現します。

「コンプレッサーが十分な熱を生成しないときには100kWの炉で建物暖房を行いますが、6年間で炉を使用したのは1回だけです。つまり、施設の暖房費は実質ゼロです。」
VINCENT GODIN氏 EMBLEM CRANBERRY社 代表取締役

Emblem社における大規模CO2冷却システムの成功事例は、自然冷媒が標準となり、私たちの住む地球にマイナスではなくプラスの効果がもたらされる、そんな未来への道筋を示すものです。その未来を切り拓く道の先頭を走っていることをGüntnerは誇りに思っています。