効率的なワクチン製造に向けた施設整備

創業以来、様々な疾病に立ち向かってきたインドネシアのPT Bio Farma。現在、世界第4位の人口を有する同国で、Covid-19対策に中心的役割を果たしています。
もともとは1890年、ワクチン開発を目的とする国立センターとして、オランダ領東インドの総督府によって設立されました。以来、順調に発展を続け、20世紀初めまでにワクチン製造の世界市場に確固たる地位を築き上げました。今日、国有企業となっている同社は、年間32億人分のワクチンを製造する東南アジア地域最大のワクチン製造企業です。同社の製品は、世界各地140ヶ国を超える国々で使用されています。PT Bio Farmaのワクチンポートフォリオには、はしかやポリオ、B型肝炎といったウィルス性疾患と、ジフテリア、破傷風、百日咳のような細菌性疾患に対するものがあります。また、ヘビの噛み傷、破傷風、ジフテリアに対する抗血清も製造しています。

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2018年、PT Bio Farmaは、製造と保管能力拡大を目的に6階建ての新社屋建設に取り掛かりました。ギュントナーインドネシアでナショナルセールスマネジャーを務めるDavid Widjanarko氏は、「新しいプラントの建設だったので、大規模なプロジェクトになりました」と言います。「製薬会社では、製造設備全体を一から新しく作るということはあまりありません。現在ある設備を補強・増設するというのが一般的です。今回のプロジェクトは、かなり大がかりなものになりました。」

会社はジャワ島の西部、バンドンにあり、日中の気温は決まって20℃半ばまで上昇します。つまり、新しい施設の建設にあたっては、冷却は不可欠な要素となるのです。
「当社製品には、非常にデリケートでダメージを受けやすいものがあります」と言うのは、冷却システム取り付け業者DLM Resto Servicesのオーナー、Rahardja Yangky氏です。「原材料の温度、製造現場や製品を最終的に貯蔵するエリアの温度に至るまで、すべての過程で冷却は必要不可欠です。さらに、特定の製品については、温度と湿度のレベルを制御した環境で保管しなければなりません。」

「原材料の温度、製造現場や製品を最終的に貯蔵するエリアの温度に至るまで、すべての過程で冷却は必要不可欠です。」
MR RAHARDJA YANGKY DLM RESTO SERVICESのオーナー

PT Bio Farmaの役員たちには、ジャワ島西部、パスルアンにあるギュントナーの生産工場に赴いてもらい、ギュントナー製品について詳細な説明を受け、品質の高さと認証制度を確認してもらいました。ギュントナーは、新工場の製造および保管エリアの温度管理用に、Cubic VARIOエアクーラーを46台、湿度管理機能を搭載したCubic VARIOエアークーラー4台を供給しました。

新設予定の建物が、後にインドネシアの人々の健康を守るのにどれほど重要なものとなるか、その時点では知る由もありませんでした。2020年初め、コロナウィルスが世界中で猛威をふるい始めると、Covid-19に対抗するワクチンの製造と保管がPT Bio Farmaの最重要事項となりました。同年8月、ワクチン開発に向け昼夜研究が続けられる新社屋は、インドネシア大統領Joko Widodo氏の訪問を受けました。PT Bio Farmaが公的にCovid-19対策機関として認識されたのです。新しく建設された社屋では、研究ラボ、製造、保管設備を同一の建物内に置くことができたことが極めて重要なポイントでした。
1億8100万人へのワクチン接種という壮大な計画が掲げられる中、2021年1月、Widodo大統領はワクチン接種国内第1号となりました。その後、PT Bio Farmaの新社屋は国のCovidワクチン主要保管施設に指定され、同年3月までに中国製Sinovac Biotech、イギリス製AstraZenecaの2種類のワクチン計4900万人分超が最も適した温度管理のもと保管されることとなりました。

将来的に、PT Bio Farmaは独自ワクチンの開発に着手する予定です。年間2億5000万人分のワクチン製造が目標とされています。ウィルス撲滅に対して、PT Bio Farmaがどれほど大きく貢献しているかは一言では言い表せないほどです。最後に、インドネシアの保健大臣Budi Sadikin氏の言葉で締めくくりましょう。「ワクチンは、私たちだけでなく、私たちの家族、周りの人々、全国民、ひいては私たちの人間生活そのものを守る手段なのです。」

「ワクチンは、私たちだけでなく、私たちの家族、周りの人々、全国民、ひいては私たちの人間生活そのものを守る手段なのです。」
BUDI GUNADI SADIKIN インドネシアの保健大臣