最新技術を活用したブドウ貯蔵システム
ブラジル北東部、São Francisco River Valleyを拠点とする食用ブドウ栽培の有力業者Agrivale社は、「最も採算良くかつサステイナビリティな方法で高品質のブドウを栽培し商品化すること」を企業理念に据えています。1996年創立の同社は、弾けるような食感と芳醇な味わいを持つブドウの開発と栽培のみならず、社員、納入業者、自然環境の間でバランスのとれた倫理的な関係を築いていることでも広く知られています。
自由に使える手取り収入、いわゆる可処分所得の増加や、フルーツ消費の拡大といった食習慣の変化に伴い、近年、世界的に食用ブドウの需要が高まっています。ブドウは幅広い栄養素を含んでいますが、なかでも抗酸化作用の高いビタミンCとビタミンKは、傷ついた細胞を回復させ、慢性疾患の予防に効果があると言われています。
ブドウ市場の成長には、貯蔵技術の向上も一役買っています。2021年3月、Agrivale社は18年前に建てられたブドウ冷蔵倉庫内のエアクーラーの改造をギュントナーに依頼しました。2,160立方メートルの容量を持つ冷蔵倉庫は、およそ250トンの果実を0℃からマイナス0.5℃の間で保管します。
「São Francisco Valley産のブドウは、付加価値の高い、とても繊細なフルーツです」ギュントナーブラジル事業所で技術営業担当を務めるLuciano Costaは話します。「このプロジェクトでは、最高品質のブドウを出荷するために必要とされる冷却の質を確保する目的から、 部屋温度と湿度の安定性を最重要事項として考えていく必要がありました。」
しかし、考慮すべき点は、それだけではありませんでした。ブドウ栽培では一般的なことですが、冷蔵倉庫では袋入りメタ重亜硫酸ナトリウムを使用します。この塩は水と反応して二酸化硫黄を発生させ、カビの発生を防ぐものです。ところが、長年の運転により、既設のエアクーラーは腐食が進んでいたのです。
「そのため、私たちの取組みは単にエアクーラーだけに向けられたわけではありませんでした」Costaはそう話します。
今回取り付けることとなったのは、ギュントナーのCubic VARIO エアクーラ ー6台です。これまでのエアクーラーに比べ使用するアンモニアが少なく、より軽量かつコンパクトなモデルです。加えて、ステンレススチール製のコイルチューブとエアクーラーのエポキシ樹脂コーティングフィンは、冷蔵倉庫内の空気に含まれる腐食性化学物質に強い耐性を持っています。また、倉庫内の空気循環には、ギュントナー専用設計となるファンを使用、さらには、エポキシ樹脂粉体塗装を白く施したアルミニウム-マグネシウム合金フェアリングとともに、結露を防ぐ断熱槽も組み込まれました。
Agrivale社で業務部長を務めるRamon Barbosa氏は、ギュントナーの冷却ソリューションは完璧だと述べ、次のように話します。「見た目にも魅力的なエアクーラーの仕上がりをはじめ、周囲に配慮した騒音レベルに至るまで、冷却室には大満足しています。」
「温度履歴を見ると、冷気が安定し、また大幅に改善していることが分かります」Barbosa氏はさらに付け加えます。「コイルの着霜も従来の冷却システムに比べて劇的に減り、結果としてデフロスト効率も向上しています。冷蔵倉庫の稼働後、性能を一定期間モニターしたところ、冷却システムの質が極めて高いことが分かりました。このため、現在は輸出用のブドウにも同じ環境を適用しています。」