どのようにしてリンゴが貧困を克服させたのか
膨大な人口に拡大する貧困問題。その解消に向け中国政府は長年に渡り重点的に取り組んできました。取組みは著しい成果を上げ、特に経済成長に伴い雇用が顕著に増大した都市では、何百万人もの市民が貧困から抜け出すことに成功しています。また、これまで都市部に比べて遅れがちであった地方では、近年進む農業の近代化が状況に変化をもたらしています。雲南省の北東端に位置する昭通市。その周囲に広がるのどかな集落は、その典型的な例です。太陽のめぐみを存分に受けるこの高地では、1940年代よりリンゴの生産が行われ、この土地で収穫されたリンゴは中国南部全域で販売されています。伝統的なやり方で生産を続けていた、通称「リンゴの街」は近年、革新的な方法を導入、その結果、地元で農業に従事する30万人以上が貧困脱却に成功しました。
先導役となったのは、近隣の朝阳区に拠点を置く昭通超越農業会社でした。同社は2018年、品薄となっている栽培品種に高度な密植栽培技術を導入し、朝阳レッドと呼ばれるリンゴの高級ブランドを新たに立ち上げました。密植栽培では国内で最大規模となる4,150ヘクタールの土地が栽培地に指定され、さらに2022年までに6,700ヘクタールに拡張される予定です。節水用に高度な点滴灌漑システムを採用、さらに、特別な「ヒョウ網」をかけ、ヒョウやアラレなどから作物を保護します。また、新ブランドに対する現代的なイメージ作りを狙い、ブランディングの専門家を起用するとともに、大手スーパーマーケットチェーンでの販売、並びにインターネットによる通信販売ルートも確立しました。
生産施設においても先進技術を導入しています。朝阳レッドコールドチェーンロジスティクパークでは最新式の選別機(国内最大)を導入、大きさや重さ、色など様々な基準に基づき最速毎時20トンのスピードで果実を選別します。リンゴは季節性の果物ですが、通年の需要に対応するためには、最長で8ヶ月間の貯蔵が必要になります。それだけの長期間リンゴを最良の状態に保つためには最適な貯蔵環境が不可欠です。
ギュントナーの中国営業部長Jason Daiは、「4万トンに及ぶ果物を貯蔵する施設にとって、それは非常に大きな課題でした」と語ります。「リンゴを冷やしておくだけでなく、90〜95%という高い相対湿度を保っておかなければなりません。さらに、冷蔵システムの運用コストを抑えるために、省エネにも配慮する必要があります。」
この困難な条件のもとで、貯蔵施設業者であった德和资(北京)人工环境技术有限公司は、ギュントナーのAgriクーラーを採用、200台以上を新設の貯蔵施設に導入しました。Jason並びにエンジニアサポートチームは、省エネに配慮しながらリンゴの品質を確保するという目的に特化し、ソリューション設計に取り組みました。流通倉庫で使用されるエアクーラーと違い、Agriクーラーは、高湿度を保つだけではなく、低温貯蔵施設内全体を一定温度に保ちながら安定した空気の流れを作り出します。昭通超越農業会社の幹部は、「ギュントナーの革新的なエアクーラーのおかげで、鮮度をしっかりと保った状態で市場に卸すことができています」と言い、さらにこう続けます。「朝阳レッドは、リンゴ市場のトップ10%に位置するブランドなので、品質が命です。また、サスティナビリティ、そして運用コストの低減も我々にとって重要なポイントです。」「ですので、この大規模なコールドチェーンロジスティクパークを構想し始めた時点から、長期的な効果をもたらすソリューションを見出すことが不可欠でした。」