イノベーションの光

昨年の4月末、ドイツ南東にある美しい街Birkenfeldが、僅かの間、世界の注目を浴びました。地元の食肉加工処理場で働く従業員1100人のうち、300人近くでコロナウィルスの陽性反応が出たのです。これを皮きりに、食肉加工処理場がウィルスの温床となることを証明する同様のケースが世界各地で続きました。

「工場から出荷される食品だけでなく、そこで働く人々も守る必要があることが、これではっきりと明らかになりました。」
MICHAEL FREIHERR 代表取締役CTO, GÜNTNER

ギュントナーの冷却技術は、食品加工部門で広く使用されています。Freiherrは直ちに研究開発プログラムを立ち上げ、感染リスクを最小限に抑制するエアクーラーの開発に着手しました。

細菌やウィルスを死滅させる方法を色々と調べるとすぐに、UV-Cライトの使用が実用性と安全性の両方で最も適切なソリューションであることが判明しました。コロナウィルスに対するものも含め、短波紫外線照射の殺菌効果はすでに証明済みですが、それをエアクーラーで使用した場合については必ずしも実証されているわけではありませんでした 「これまでお客様から要望があればエアクーラーにUV-Cライトを取り付けたりしていたので、いくらかの経験値はありました。」と、Freiherrは言います。「とはいっても、その効果については皆、『効果があるだろう』と思っている、といった程度のものでした。ですが、パンデミック下の防疫対策として使用するにあたっては、ある程度の確証を得ることが不可欠です。」

Innovation the light of innovation content

ギュントナーのチームは、かの有名なフラウンホーファープロセス工学・パッケージング研究所と協議する機会を設け、UV-Cを用いた技術が冷却室内で本当に効果を持つかどうかを検証する実験計画を立案しました。「最初は研究所のラボで実験を行いたいと思っていたのですが、研究所の環境条件は実際に技術が適用されることになる環境とは異なっていました」と、Freiherr。「このため、実験は冷却室のある、自社のFürstenfeldbruckラボで行うことになりました。」

熱交換器コイルとファンの間にUV-C照射器を内蔵する新型エアクーラーがラボに取り付けられ、大気中に自然発生する細菌レベルの計測実験が始まりました。実験は、予想だにしなかった発見をもたらしました。 「最初の実験から言えたのはただ1つ。ギュントナーのラボは、おそらく世界で最も衛生的であるということでした!」 Freiherrはそう言って笑います。「大気中に十分な細菌がなかったのです。」 そこで、細菌を含む環境を作り出すため、人体への影響がなく、実験でよく使われる細菌のサブティリン胞子が導入されました。これによって、UV-Cを使用しユニット内で空気に光を照射した場合、どれだけ細菌レベルが下がるのか、逆に照射しなかった場合、どれだけレベルが上がるのかを計測することができました。この結果を受けフラウンホーファーの生物学研究者たちは、数時間以内で大気中に漂う細菌の99.9%が死滅することが確証できると結論づけました。

11月、UV-Cを搭載Cubic VARIOが誕生しました。UV-Cライト以外にも、衛生面で確かな安全性を約束する各種の機能が組み込まれています。ユニットに使用される素材はすべて、食品と共に使用しても問題ないことが認証されています。また、水を受ける際に汚れが溜まらないよう、ドリップトレイの端は斜めに下がっています。さらに、ケーシング全体に手が届くので清掃しやすく、また、断熱構造で分離しているので、ケーシング上の結露を防ぐことができます。

「よりよい衛生対策を求めて使用するうえで、理に適った製品です。実際は、従業員がいない夜間に、UV-C照射器をオンにした状態で一晩じゅうクーラーを稼働するといった使用法になるでしょう。安全面から言うと、それが一番いいやり方です。ギュントナーの最高技術をもってすれば、室内の細菌やウィルスは、一晩ですべて駆除できます。」
MICHAEL FREIHERR 代表取締役CTO, GÜNTNER