シカゴの恵まれない地域に最先端の施設を設立
シカゴ南部のプルマン地区は、長い歴史と根強いコミュニティ意識を持つ地域です。鉄道車両を生産していたプルマン社の社宅地域として1880年代に開発されたこの地域は、その後衰退し、1960年には全域解体の危機に直面しました。これに対し地元住民が立ち上がったことで、今日、当時の建物は歴史的建造物に指定されています。中産階級化がある程度進む一方、恵まれているとは言えないこの地区において、プルマンゲートリーパーク内に新設される陸上競技センターは待望の施設です。
シカゴ・パーク・ディストリクトが所有する13,000平方メートルのこのセンターは、ある人物に由来します。その人物とは、シカゴ市民権運動の有力な活動家の一人であり、アフリカ系アメリカ人の学者として知られるConrad Worrill博士、陸上競技場への投資を長年にわたり市に働き掛けてきた人物です。学生時代、市内の若きアスリート達が学校の廊下で練習する場面を目にしてきた博士は、若者におけるスポーツと学力向上には相関があるとの強い信念を持っていました。
アルミ、ガラス、そしてレンガで外壁が覆われたこの建物は人目を引く現代的な設計です。しかしこのセンターのメインは、なんと言っても油圧で傾斜させる200メートルトラックです。この類のトラックは国内12箇所にしか存在しません。その他に、370平方メートルのウォームアップエリア、短距離走8レーン、さらに走り幅跳び、三段跳び、高飛び、棒高跳び、円盤投げの競技場が設けられています。客席は3,500人の観客を収容します。さらには、リングとネットを天井から上げ下げすることで、バスケットボールコート4面、バレーボールコート6面を設置することができます。
2021年の開場以来、高校生選手のトレーニングから大学対抗競技会、各種スポーツ教室やプログラム実施に利用されています。「プルマン地区のみならずシカゴ全体で、これらのスポーツに対する興味や意識を高めることにつながっています」とSerra氏は話します。
通年開館となるセンターでは、気温が上がる夏の期間、館内を涼しく保つことが必須です。最新施設に相応しく、種々のトラックやオフィススペースの冷房に使用されるのは、ギュントナーが独自開発したaicore™ air冷房コントロールシステムが制御する Güntner Flat VARIOコンデンサ4台です。このシステムを使用することで、複数の冷却系統を各 Güntnerコンデンサ内に別々にプログラムすることが可能になります。
aicore™ airは系統の優先順位付けをすることができます。これによって、冷却システムを複数エリアで効率よく、すなわち環境に配慮したやり方で稼働できるようになります。センターでは、4台の独立型コンデンサーで、9つの異なる圧力セットポイントの9つの制御系統を管理しています。」ギュントナー南北アメリカ地域でスマートソリューションマネージャーを務めるZachary Wernlundは説明します。
残念ながらConrad Worrill博士はセンターの完成を待つことなく2020年に他界されました。博士の娘であるFemi Skanes女史は、「父は子ども達が競技場の上を走る姿を目にすることはできませんでしたが、完成間近の建物を見ることができました。」「新しいスタジアムの話をする時はいつも誇らしげでした」と語ります。 2022年2月、願いを実現にまで導いた博士の長きにわたる尽力への敬意を表し、この建物は正式にゲートリーパークConrad Worrill博士陸上競技センターと名付けられました。