サーバーからの余熱をサスティナブルに利用
場所を選ばず、どこからでもアクセスできるオンデマンドのクラウドコンピューティングサービスの成長は、デジタル化の主要な原動力の一つとなっています。企業には、コストの削減、セキュリティの改善、より優れた効率性と高い柔軟性をもたらすものですが、そのクラウドが依存するデータセンターは、膨大な電力を消費、また大量の熱を放出します。
ドレスデンに拠点を置くCloud&Heat Technologies社は、この余熱を地域熱供給ソリューションに転用するという、画期的かつ持続可能な方法を開発しました。革新的なサーバー用統合水冷却システムにより、プロセッサから放出される熱の90%を利用できます。
Cloud&Heat社は、輸送コンテナの中でサーバーを提供しているため、大規模な地域熱供給システムと容易に統合できます。 スウェーデンの首都ストックホルムから南に位置するヨルドブロでは、スウェーデンの再生可能エネルギー会社Vattenfallが運営する熱電併給(CHP)プラントの近くに、液冷式の20フィートコンテナが2つ備えられています。このプラントでは、バイオマス発電と同時に、発生した廃熱を地域熱供給システムに送っています。Vattenfallで前戦略・ビジネスインテリジェンス部長を務めるBirger Ober氏は「熱と演算の融合」と表現するサイト内で、「サーバーはバイオマス発電によるクリーンエネルギーで稼働しています。また、サーバーから発生する熱は、同じ地域熱供給システムに供給されます。」と説明しています。
Cloud&Heat社が提供するコンテナは、屋根部分に、Güntner V-shape VARIOドライクーラーを搭載しています。では、Güntnerはどこで活躍しているのでしょうか。
Cloud&Heat社の熱設計エンジニアAnne Weisemann氏は次のように話します。「地域熱供給システムグリッドは、廃熱をすべて吸収しきれないことがあります。そこで、緊急冷却システムとしてGüntnerの技術を活用しています。」
Güntnerは同社と数年にわたり緊密に連携、乾式冷却技術だけでなく専門知識の提供も行っています。
「2018年にテストインフラストラクチャ用のドライクーラーが必要になったのですが、その際に初めてGüntnerに問い合わせました」Weisemann氏は続けます。「付属品やファン制御オプションについて助言をいただきましした。そのときのクーラーは現在も使用しています。また、腐食が起きやすい環境で使用するチューブとフィン材質も各種選定して頂きました。」
Güntnerで営業部長を務めるJan Hübnerは次のように述べています。「熱遮断はCloud&Heat社の専門分野ではなかったため、エンジニアリングの共同開発という形でサポートしました。サーバーは屋外に設置されることが多いため、様々な気象条件で使用できる柔軟性をドライクーラーに確保することが最重要課題でした。」