革新的技術を活用したクラウドコンピューティング用冷却ソリューション

現在、世界人口のおよそ4分の1にあたる20億超の人々がオンラインショッピングを利用していると推計されています。この数は過去5年で約66%増加し、今後もますます増え続けると予想されています。

ほとんど意識されることはありませんが、これらの利用人口はすべて、バックエンドインフラをホストするのに世界中に置かれたデータセンターに支えられています。バックエンドインフラは、購買活動の信頼性を保証し、取引で生じるデータを安全に保存するスペースを提供します。これはクラウドコンピューティングの世界であり、クラウドサービスの需要の高まり、特にAIや仮想通貨マイニングといった高度なアプリケーションを含むものが多くなるにつれて、データセンターの数だけでなく、そこで消費されるエネルギーも激増していきます。

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その結果、一つの課題が生じます。データセンターが消費する電力量は、既に世界の消費電力量のおよそ1%を占めています。電力の多くはサーバーを動かすのに使用されていますが、その際に発生する熱は冷却が必要です。オーバーヒートによって莫大なコストのかかるダウンタイムを生じることがあるからです。この冷却にまた、膨大な量の電力が必要となってくるのです。ある推計※によれば、従来の空冷式冷却を採用するデータセンターでは、必要電力の38%が電子コンポーネントを冷却するためだけに使用されています。

このエネルギー課題に対する解決策の一つとして、現在評価が高まっているのが、いわゆる「液浸冷却」です。電気絶縁性が高く、伝熱特性に優れた液体にサーバーを浸すことで、ショートを発生させることなく効率的に熱を放散させることができます。この方式を用いることで、データセンターでは空気を用いる従来の冷却よりも効率的で二酸化炭素排出量も少ない冷却が実現します。

中国北部の張家口市にある同国最大級のeコマース(電子商取引)企業のデータセンターでは、2017年から液浸冷却が採用され、成果をあげています。Güntner(ギュントナー)は、このプロジェクトの成功に大きく貢献しています。

データセンターが採用するのは、「二相式」システムです。このシステムでは、サーバーは密閉空間に配置され、稼働が始まると周囲の液体がサーバー発熱により沸騰します。沸騰により生まれた蒸気は上昇すると密閉空間の上部にある冷却コイルで凝結、その後、凝結液となって循環することで、気化・液化の冷却サイクルが実現します。このシステムで熱を放散させるのに活躍するのがGüntner(ギュントナー)の技術です。

「このような液浸による熱交換プロジェクトに取り組むというのは当時、未知の海原に漕ぎ出すことを意味していました。それでも、自分たちのドライクーラーなら出来る、そんな確信が私たちには常にありました。また、この革新的プロジェクトに最適なソリューションを、お客様と共に探求し形にしていきたいという強い思いもありました。」
YOUDE XIAO GÜNTNER ゼネラルマネジャー

優れたエネルギー効率を誇る hydroBLU付属のGüntner V-shape VARIOドライクーラー4台は、最大出力計1,060キロワットで、液浸冷却を行う建物の外側に高性能の冷却システムを提供します。データセンターがある張家口市のように、概して外気温が低い地域での、冷却サイクルで水や液体を追加で散水する必要はありませんが、追加の冷却が必要となった場合は、散水冷却機能が稼働し、Güntner(ギュントナー)の冷蔵ソリューションが動的に調整を行います。このデータセンターでは、従来のシステムよりも冷却エネルギー量で95%、冷却コストで80%の削減が実現しました。

液浸冷却システムの需要は拡大しています。データセンター冷却におけるこの革新的システムは、昨年は市場価値4億ドルを記録しましたが、この値は2027年までに16億ドルに達すると予測されています。

「このプロジェクトは、どんなことにも意欲的に取り組むGÜNTNER(ギュントナー)の姿勢を物語るものです。これまでに前例のない取り組みでしたが、私たちは前例のない事例を受け入れ、挑戦を恐れず、最終的にプロジェクトを成し遂げました。今後は、同様のプロジェクトにこれまで以上に積極的に取り組んでいくことになるでしょう。」
ANUJ BEDI GÜNTNER 事業開発課長

この中国のプロジェクトは、コスト削減とサステナビリティの推進にGüntner(ギュントナー)の技術が不可欠であることを実証しました。先駆的なこの技術が世界の至る所で活用される、そんな未来の実現に協力していくことをGüntner(ギュントナー)は心待ちにしています。

※出典: 3M